「肝数値か高いですね」、「胆嚢が濁っていますね。胆泥症です」、「胆嚢の粘液嚢腫が見つかりました」
ワンコがこんなことを言われたことありませんか?
最近では健康診断を受ける機会も増え、特に犬はシニア期になってくると高い確率で胆嚢に何らかの障害が生じます。
内科治療を選択し、ずっとお薬を飲み続けている方も少なくないのではないでしょうか。
そんな胆嚢、中でも粘液嚢腫になっている胆嚢を放置しているとどうなるのでしょう・・・?
胆嚢が破裂して胆汁が腹腔内に漏れてしまったワンコの、緊急手術でお腹を開けた時の状態です。黄色く濁った腹水が貯留していました。
胆汁は強い消化酵素を含んでおり、それが腹腔内全域に行きわたると、激しい腹痛や膵炎などの臓器障害を起こします。
腹水を吸引し、腹腔内を洗浄します。
緑色の袋が、破裂してしぼんだ胆嚢です。
手術では、袋状になっている胆嚢を、肝臓から少しずつはがして取り除いていきます。その際、肝臓の実質をなるべく損傷しないようにするため、当院では超音波乳化吸引装置を用いて切除しています。
胆泥症や、それがさらに進行した胆嚢粘液嚢腫は、破裂や漏出を起こして急性の強い腹痛、嘔吐などの症状を起こして緊急手術となる可能性があります。その状態での手術は、リスクがかなり高く麻酔から覚めないことも覚悟しなくてはいけません。
胆嚢は、胆泥の初期段階なら手術の負担をかなり減らすことができます。
体調に問題がなくても、早い段階での手術をお勧めします。
写真のワンコは、術中心肺蘇生が必要となるくらい状態が悪かったですが、10日くらいの入院で無事おうちに帰ることができました(^^♪