初の症例報告ブログ、最初の投稿は猫ちゃんのヒモ状異物についてです。
症例は5歳、去勢オスのMix猫ちゃんです。
夜中の12時ごろから嘔吐を何度も繰り返し、元気もなくしんどそうとの主訴でご来院。
飼い主様のお話によると、前日の夜に遊んでいた猫用のおもちゃがなくなっているから、それを食べてしまったのかも…とのこと。
このことからおもちゃの誤飲からの嘔吐を1番に疑い、血液検査、レントゲン、エコー検査を実施しました。
血液検査では異常値は認められませんでしたが…
レントゲンでは胃の中にガスが認められました。
エコー検査を実施したところ蛇行した消化管の中に、線状の高エコー源性(矢印)のものが認められました。
飼い主様からの聴取と臨床症状、画像検査の結果から消化管内のヒモ状異物と診断し、その日のうちに開腹手術を行いました。
なにやら黄色い球体が…。どうやらこの球体が胃の出口である幽門部に引っかかっており、球体から伸びるヒモが消化管へと続いている様子…。まずはヒモを切り、球体からヒモをリリースし、球体だけ摘出します。
お腹の中から消化管を取り出すと、消化管がアコーディオン状に縮れていました。一端がどこかに引っかかったヒモ状の異物が消化管の中に到達すると、そのヒモを軸にして消化管が動くため、巾着袋のようになってしまうんです…
ヒモの場所を触って確認し、消化管の一部に切開を入れてヒモを取り出します。この症例では幸いにも消化管の壊死や穿孔もありませんでした。また、おもちゃを飲み込んでから比較的早い段階で手術を行えたため1箇所の切開で全ての糸を取り除くことができました!
切開した部分をしっかりと縫合します。
最後に開いたお腹をしっかり閉じて手術終了!
こちらが今回の手術で摘出したおもちゃです。
手術は無事成功して、今ではご飯を食べれるまで回復しました🐱
ヒモで遊ぶのが大好きな猫ちゃんは、遊んでる最中に誤って飲み込んでしまうことがときどきあります。ヒモ状異物はその一端が口の中や胃の中にひっかかり、もう一端が消化管に到達すると、そのヒモを軸にして消化管が縮れていき、ひどい場合消化管の壊死や穿孔を引き起こし、命に関わる危険な状況になってしまいます。
今回の症例では血液検査上では白血球やSAA(炎症マーカー)の上昇もなく、消化管の壊死も認められず、早期の処置が行えたため、猫ちゃんへの負担も少なく術後の状態は良好でした。
ちなみに、今回の症例で摘出したおもちゃと同様のものがこちらになります。猫ちゃんを飼ってるみなさんのお家にも1つはあるのではないでしょうか?🐱
猫ちゃんがヒモで遊ぶ姿は可愛くてついおもちゃで遊びたくなりますよね。一緒に遊ぶ際は猫ちゃんをしっかり見てあげて、遊んだおもちゃは片付けて、猫ちゃんが誤って食べてしまうのを防いであげましょう😌
何か変だなと思ったらすぐに病院へご来院ください🏥