消化器科

下痢、嘔吐を主訴とする疾患に対応致します。大腸性下痢、小腸性下痢などに分類されます。一時的な下痢かと思っていると思わぬ疾患の一症状であったりします。下痢が続くようなら早期の来院をお勧め致します。

口腔内腫瘍

 口腔内の腫瘤は腫瘍であることが多く、悪性腫瘍にもよく遭遇します。

<悪性腫瘍>

扁平上皮癌、悪性黒色腫、線維肉腫、浸潤性の強い棘細胞性エプリス

 

<良性腫瘍>

線維腫性エプリス、乳頭腫症

 

初期には口臭や流涎、食べるスピードの変化などが現れます。拡大してくると固いものが食べられなくなったり嚥下困難や口が閉じれなくなるかもしれません。出血も一つのサインです。

 

外科的に切除可能であれば外科を選択します。エプリスの局所治療では根治治療として下顎切除、上顎切除を行うこともあります。

外科切除が不十分となる場合は放射線療法を補助的に併用することで良好なコントロールが得られます。

転移率の高いメラノーマや扁平上皮癌では化学療法が有効なこともあります。

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胃腸炎

食餌性(急な食餌の変化や拾い食い)、細菌性、寄生虫性、ウイルス性、アレルギー性、腫瘍性、ストレス性、中毒性、薬物性など、胃腸炎の原因は多岐にわたります。

<下痢を起こす寄生虫>

コクシジウム・ジアルジア・トリコモナスetc ・・・原虫

蟯虫・回虫・鞭虫etc・・・線虫

瓜実条虫・マンソン裂頭条虫etc・・・条虫

特に、外に出てノミやシラミがついてしまう子や、草むらで拾い食いをしてしまう子は、外部寄生虫だけでなく見た目にはわからない消化管内寄生虫を隠し持っている可能性が高いです。

中には人にも感染するものもあります。

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コクシジウムのオーシスト

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マンソン裂頭条虫卵

<下痢を起こす主なウイルス感染>

パルボウイルス(犬・猫・フェレットのアリューシャン病)

コロナウイルス(犬・猫)

ジステンパーウイルス(犬)

その他、猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)など、二次感染により下痢を生じるもの


<食物アレルギー>

  特定の蛋白質や炭水化物に対してアレルギーがある場合、それらのアレルゲンを含む食餌を一切与えないことで改善します。

現在、アレルギーを起こさないレベルまで加水分解された新規蛋白を使用しているアレルギー用フードにより、食物アレルギーはコントロールしやすくなっています。

 

<抗菌剤反応性腸症>

消化管内には当然細菌が存在しています。胃酸による制御能の低下や消化管内容の停滞、粘膜の免疫力の低下など、何らかの原因で細菌が過剰になりバランスが崩れてしまうと、下痢や嘔吐を生じます。

原因の追求は困難であるため、抗生剤の試験的投薬によって改善するかどうか反応を見ます。

遺伝的素因など、体質に問題がある場合は抗生剤を生涯投与することも必要になります。

また、その場合も消化のよい食餌によるコントロールが重要です。

 

<炎症性腸疾患(IBD)>

感染性の腸疾患、腫瘍性の腸疾患、ほか、消化器症状を示す疾患をすべて除外した結果診断される慢性特発性消化器疾患を炎症性腸疾患といいます。

腸生検を行って最もよく診断されるのは、リンパ球形質細胞性腸炎です。猫の好酸球増加症候群のうち、関連した腸炎を起こすものが好酸球性腸炎ですが、犬でもまれに好酸球性のIBDが生じることがあります。この場合、食餌療法だけでは症状は改善しません。

抗生剤による感染の制御、アレルギー性が少なく消化の良い食餌、それに加えて免疫抑制量のステロイド投与や他の免疫抑制剤を使用することによって、吸収不良や体重減少をコントロールしますが、これもまた治らない消化器疾患の一つです。

 

<消化器型リンパ腫>

犬、猫、フェレットにおいて、胃腸管に発生する腫瘍性疾患のなかで最も多く見られます。犬よりも猫とフェレットで特に多く発生します。

IBD同様抗生剤や食餌療法に反応しない消化器症状を示し、腹部エコー検査によって消化管粘膜の構造異常が認められる場合に強く疑われますが、確定診断には消化管の生検が必要となります。内視鏡下で採材した病変部粘膜の生検で診断できるものもあれば、粘膜下筋層に病変があって開腹下全層生検を行わないと診断できない場合もあります。

腫瘍細胞の発生部位や浸潤箇所、リンパ球の大きさ、種類、クローナリティ(Ttype、Btype)などにより悪性度が異なり、化学療法に対する反応や予後が変わります。一般的に長期的な予後は見込めない疾患ですが、猫の粘膜型T細胞性リンパ腫は2年以上の生存も可能です。

胃・腸管の腫瘍

 <良性腫瘍> 腺腫・平滑筋腫etc

<悪性腫瘍> 腺癌・平滑筋肉腫・消化管間葉系腫瘍(GIST)・リンパ腫

 

特に胃の腫瘍は、慢性的な嘔吐に関係していることが多いです。胃の腫瘍は必ずしも吐血するとは限りません。また、胃潰瘍など腫瘍以外の疾患でも吐血します。

更に継続した体重減少、食欲不振、進行するとメレナ(黒色タール便)や貧血、腹痛、下痢が生じます。劇的な症状を呈するというよりは、長期間かけて慢性的に進行することが多いため、発見が遅れることもしばしばあります。

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胃の腺腫 内視鏡写真

消化管腫瘍の診断では、まず腹部エコーで消化管の層構造を確認し、その構造が崩壊している箇所、あるいは明らかに腫瘤病変が認められる箇所に腫瘍形成を疑います。

また腹部エコー検査では上腹部のリンパ節や他臓器への転移像の有無を調べます。

異常箇所が特定できて内視鏡が届く位置であれば、内視鏡を通して粘膜の肉眼的確認を行います。同時に生検して確定診断をつけられることもあります。内視鏡下での生検による確定診断が不可能な場合は開腹して消化管壁の全層生検を行います。

リンパ腫以外の消化管腫瘍は、外科切除が可能ならばそれが望ましいですが、広範囲に浸潤し胃壁を巻き込んでいるような胃の腺癌や腸間膜を広範囲に巻き込んでいるような腸の腺癌などは手術が不適応となります。

外科を選択する場合、胃の腫瘍はその殆どが胃の下部2/3、特に幽門部付近に発生するため、幽門部を切除して胃体部と十二指腸を繋ぐ術式が複数存在します。

胃の部分切除を行った場合、切除部位が癒合して食餌を貯留できるようになるまでの期間、経空腸栄養チューブを設置して術後栄養管理を行う必要があります。

いずれにしても、早期発見で病変が広範囲に及んでおらず、転移もない症例では経過は良好ですが、癌が進行しており侵襲の大きい手術となった場合、術後の生存期間が、内科的緩和治療を行った場合と殆ど変わらないこともあります。

化学療法による内科治療を行う場合、生検で得られた組織診断が治療法を選択する上で必要な情報となります。

消化管の悪性腫瘍に対して様々な化学療法剤を用いた報告がありますが、現在効果が確立されている化学療法剤はないようです。

分子標的薬が消化管間葉系腫瘍(GIST)に対して効果的としてこれまでイマチニブが用いられていましたが、今年新しく国内発売となった分子標的薬、トセラニブは、更にイマチニブ耐性GISTにも奏効する可能性が示され、今後期待の持てる薬と考えられます。

消化管内異物による腸閉塞

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小型犬であれば果実の実や肉についていた骨など、猫では紐状異物、フェレットはほんの小さなゴム製品や毛球が閉塞を起こします。胃に留まっている間は軽度の消化器症状(時々吐く、食欲低下など)であっても、腸閉塞を起こすと急性腹症となり生命の危険が出てきます。

早期に手術できれば、腸切開して異物を取り除くことで改善しますが、異物の圧迫により虚血性壊死を起こした腸は、場合によっては切除しなければならず手術がうまくいっても回復にかなりの時間がかかります。