血液科

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重度の貧血(PCV8%)を呈して低酸素、起立不能により来院した犬の腹腔内腫瘤

摘出手術により腫瘤からの出血は止まり、貧血は改善した。

多血症

 脱水を起こしていない動物でヘマトクリット値あるいはPCVが正常値より高い場合、病的な多血症を疑います。(ヘマトクリット値の正常範囲は動物種や犬種によって異なります。)

 原因として

・ 腎腫瘍によるエリスロポエチン分泌亢進

・ 心肺疾患による低酸素症

・ 呼吸障害を伴う短頭種

・ 甲状腺機能亢進症

などが挙げられます。

 

貧血症

 赤血球数、ヘマトクリット値は様々な原因で減少します。

 主に

・ 出血(外傷性出血、消化管内出血、肝腫瘍や脾臟腫瘍などからの腹腔内出血、ノミによる吸血など)

・ 生産の低下(骨髄機能の低下、腎機能低下による造血ホルモン不足、鉄分不足など)

・ 破壊(溶血、血液原虫寄生、腎血管での破壊、脾臟での貪食など)

などが考えられます。ヘマトクリット値が20%を下回ると、輸血を考慮します。

 

好中球増加症

 重度細菌感染や自己免疫性疾患などによる炎症反応、ステロイド刺激、腫瘍性疾患などを疑います。

 

好中球減少症

 ウイルス感染、敗血症、骨髄機能低下などを疑います。感染に対する防御能が低下するため、通常なら感染しないような常在菌にも感染を起こす可能性があります。

 化学療法実施時に骨髄抑制剤の作用により著しく好中球が減少した場合、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤の投与を行います。

 

リンパ球増加症

 リンパ腫白血化(ステージⅤ)、白血病、猫のFeLV感染、慢性炎症、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、興奮時(特に猫)などの場合に認められます。

 

リンパ球減少症

 ウイルス感染、骨髄抑制、慢性感染症による消耗、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、アミロイドーシス、腫瘍性疾患などを疑います。

 

好酸球増加症

 アレルギー(即時型過敏症)、寄生虫疾患、腫瘍性疾患(リンパ腫、肥満細胞腫など)、好酸球性皮膚炎、好酸球性肺炎、好酸球性筋炎、好酸球性胃腸炎などの好酸球浸潤性炎症、猫の好酸球性肉芽腫症候群、好酸球性白血病、アジソン病などを疑います。

 

好酸球減少症

 クッシング症候群や投薬によるステロイド刺激によって好酸球が減少することがあります。

 

単球増加症

 クッシング症候群や投薬によるステロイド刺激、慢性炎症、肉芽腫性炎症性疾患、好中球減少、溶血性疾患が疑われます。

 

血小板増加症

 出血や脾臓摘出、創傷や慢性感染症、悪性の腫瘍などの際に反応性に増加することがあります。また、巨核芽球性白血病では骨髄での血小板産生が増加します。場合によっては血栓ができやすくなります。

 

血小板減少症

 ・ 消費の亢進:慢性的な出血、DIC(播種性血管内凝固)、急性感染やアナフィラキシーなど

 ・ 破壊:免疫介在性血小板減少症

 ・ 生産の低下:骨髄機能低下など

 ・ 脾腫への分布過多          などにより血小板が減少します。

出血傾向などが認められる状態では輸血を考慮します。